2010年12月18日土曜日

インディジャパン 300マイル決勝リポー?

 IZODインディカー?シリーズは、北米を中心に行われているオープンホイールフォーミュラーカーによる選手権で、イタリアのダラーラ製のシャシーにホンダエンジン、ファイアストン(ブリヂストンの米国子会社)タイヤというワンメイクの組み合わせで争われ、非常に競争の激しいシリーズとして知られている。

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 そのインディカー?シリーズの第16戦「インディジャパン 300マイル」が、栃木県茂木町にあるツインリンクもてぎのスーパースピードウェイで9月17日?19日にわたり開催された。

 今年のインディカー?シリーズは、元F1ドライバーの佐藤琢磨選手が参戦したことで、一昨年より参戦している武藤英紀選手とあわせて2人の日本人レギュラードライバーが参戦しており、日本のファンにとっても注目のシリーズになっている。さらに、ロジャー安川選手もスポット参戦したことで、インディジャパンでは3人の日本人選手が参戦した。

■北米のトップフォーミュラー、ワンメイクだがハイレベルな選手権
 ヨーロッパにおけるオープンホイールの最高峰であるF1と異なるのは、走るサーキットが通常のレーシングコースだけでなく、オーバルコースと呼ばれる楕円形のコースを走ることだろう。オーバルではロードコースとは異なり、順位の変動は日常茶飯事で、抜きつ抜かれつのバトルを楽しむことが可能になっている。今回のインディジャパンの会場であるツインリンクもてぎは、ロードコースとオーバルコースの2つを備えており(だから“ツイン”リンクなのだが……)、そのうちオーバルコースのスーパースピードウェイを利用してレースが行われることになる。

 今回のレースで多くのファンの声援を集めたのは、元F1ドライバーの佐藤琢磨選手だろう。今年からインディカー?シリーズに転向した佐藤選手は、KVレーシングテクノロジーに所属し、ロータスカラーのマシンを駆って、何度か光る走りを見せた。さまざまなトラブルなどもあり、結果にこそつながっていないものの、速さをアピールしている。インディジャパンでは、佐藤選手を応援するファンが非常に多く、多くのファンがカーナンバー5のロータスの帽子やシャツを身につけて応援していたのが印象的だった。

 今年佐藤選手のスポッター(サーキットを見渡せるところから他車の動きをドライバーに伝える役割)を努めていたのが、ロジャー安川選手だ。ロジャー安川選手は、日系アメリカ人ドライバーで、2003年と2005年にインディカーシリーズにフル参戦していた経歴を持っている。今回のインディジャパンにスポット参戦を決めて、コンクエストレーシングから出走することになった。

■チャンピオン争いはわずか12点差の僅差で最終戦へなだれ込む
 土曜日に行われた予選では、3強と呼ばれるペンスキー、チップガナッシ、アンドレッティオートスポーツの3チームが上位を占める結果となった。ポールポジションはペンスキーの3号車 エリオ?カストロネベス選手、次いで6号車 ライアン?ブリスコー選手、3位にポイントリーダーの12号車 ウィル?パワー選手となった。4位にポイントランキング2位の10号車 ダリオ?フランキッティ選手(チップ?ガナッシ)がつけ、パワー選手とのチャンピオン争いがより熾烈になりそうだと予想された。

 日本勢は、5号車 佐藤琢磨選手が予選10番手につけて注目を集めた。というのも、佐藤選手は土曜日のフリー走行で走り始めてすぐにウォールでクラッシュし、バックアップカーで出走。フリー走行ではほとんど走れていなかったので、下位に沈んでしまうのではないかと思われていたからだ。これで、サーキットは大いに沸き、翌日の決勝に大きな期待を望める結果となった。なお、武藤英紀選手は17位から、ロジャー安川選手はスポット参戦ながらレギュラー勢を数人上回る21位につけ、こちらも期待できる結果と言えた。

 決勝は、スタートして2周目にいきなり36号車 ベルトラン?バゲット選手がターン4で壁にクラッシュしてフルコースコーション(コース全体にイエローフラッグが出されて、ペースカー先導のラップになる)になるなど荒れた展開で始まった。

 レースをリードしたのは、やはりペンスキー勢で、3号車 カストロネベス選手、6号車 ブリスコー選手と続き、3位には12号車 パワー選手を抜いた、10号車 フランキッティ選手という展開になった。

 レースは基本3台のペンスキー対フランキッティ選手という展開で、ペンスキー勢がリードしていたが、レースが動いたのは67周に佐藤選手のチームメイトでもある32号車 マリオ?モラエス選手がターン2でクラッシュしてフルコースコーションになったときだ。

 この時上位勢はいずれもピットインしたのだが、2号車 ラファエル?マトス選手(ド?フェラン?ルクソ?ドラゴンレーシング)と6号車 武藤英紀選手がピットに入らずそのままコースに残ることを選択し、一挙に上位に出るという賭に出たのだ。マトス選手と武藤選手は次のピットイン(100周前後)までの間にもう一度フルコースコーションが出ることを期待していたのだが、結局それはなく、残念ながら2人の賭は失敗に終わってしまった。

 佐藤琢磨選手も出入りの激しいレースを繰り返し、10位からスタートしたもののスタートで順位を落とし、何度も前車をオーバーテイクするものの、ピットインするたびに順位を落とすというレースになってしまった。

 結局常にレースをリードしたのはペンスキーの3台と10号車 フランキッティ選手だ。148周にデイルコインレーシングのアレックス?ロイド選手がクラッシュすると、再びフルコースコーションになり、上位勢はすべてピットイン。ピットインが終わった状態での順位は、3号車 カストロネベス選手、10号車 フランキッティ選手、6号車 ブリスコー選手、12号車 パワー選手という順。このイエローでは車の撤去やオイルの除去などに時間がかかり168周にリスタート、その1周後に総合チャンピオンをフランキッティ選手と争うパワー選手をブリスコー選手が前に出し、チャンピオン争いをしている2人の直接対決となった。

 しかし、最後(200周)まで順位の変動はなくそのままゴール。優勝は3号車 カストロネベス選手で、同選手が優勝したときに恒例となっている金網上りがツインリンクもてぎでも再び繰り返されることになった(同選手は2008年のインディジャパン優勝)。なお、カストロネベス選手はこのパフォーマンスにより“スパイダーマン”のニックネームを持っており、結局終わってみればポールツーウインとまさにスパイダーマンデーとなった。日本人選手は佐藤琢磨選手が12位、武藤英紀選手が14位、ロジャー安川選手が20位という結果になった。

 チャンピオンを争う2人は、2位のフランキッティ選手が、ポイントリーダーのパワー選手の1つ前の2位でゴールしたことにより、ポイント差が縮まる結果となった。優勝で50点が取れるインディカーシリーズだが、1位のパワー選手が587点、2位のフランキッティ選手は575点と12点差で、最終戦となる次戦マイアミの結果次第でチャンピオンが決まる激戦となっている。

 なお、今年のインディカーシリーズは、オーバルとロードコースにそれぞれタイトルがかけられており、ロードコースに関してはパワー選手がすでに獲得していたが、インディジャパンの結果によりオーバルのタイトルはフランキッティ選手が獲得した。

■レース終了後には小山町復興のチャリティイベントを開催
 インディジャパンでは各種のイベントが開催されたが、レース後にはSUPER GTに参戦するホンダドライバーによるチャリティーオークションの入札結果が発表されるイベントが行われた。

 今回のチャリティイベントは、台風9号で被害にあった静岡県駿東郡小山町(富士スピードウェイがある)のために行われたもので、ホンダのSUPER GTドライバーとしては最年長になる道上龍選手の提案により行われたものだ。SUPER GTに参加するホンダの日本人ドライバーが自ら使用していたレーシングスーツやバイザーなどを持ち寄り、オークションイベントが開催された。

 ラルフ?ファーマン選手は当日参加できなかったものの、レーシングスーツの提供という形で参加。なお、最終的な合計金額は58万1033円になり、その全額は小山町の復興に寄付されるとのことだった。


【Car Watch,笠原一輝/Photo:奥川浩彦】


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引用元:RMT情報局 - RMT 掲示板

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